ふとしたきっかけで「人形館の殺人」の忘れた部分を調べようとググったら自分のブログが出てきました私です。
それはさておき、ここ最近で続いていた「暗黒館の殺人」を読了しました。
三巻を読んですぐ四巻に入り、四巻の途中で三巻の感想をまとめようと思っていたのですが四巻が三日で読めてしまったのでまとめて感想です。
人によっては四巻全てを四日で読んだ方もおられるようで…ほんと毎回言ってますが、もうちょっと早く読めるようになりたいです。


「暗黒巻の殺人 三・四」著・綾辻行人 横のベイマは愛嬌です。
四巻はほぼ丸っと解答編と言って良いと思います。
少なくとも三巻までに全ての伏線とヒントが出てきています。
あらすじ
三巻:二巻までに起こった二つの殺人事件を追うなか、暗黒館にまつわる謎の詳細が浦登玄児によって語られ始めます…。
「私」こと”中也”がダリアの宴で食べさせられた肉やダリアという人物そのもの、暗黒館の西館にある〈開かずの間〉とは何なのか?全てが徐々に明かされていきます。
四巻:十八年前に起こった玄遥の事件および人体消失の謎、そして十八年後の今に起こった二つの殺人事件の真相。さらには浦登家にあった過去の事実全てが明らかになり、最後に明確になる全ての事柄…。
今まであった違和感全ての答えが一巻丸々通して明かされていきます。
メモを取る
綾辻行人さんの作品はとりあえず館シリーズを全て読んでから他のを…と思っているので、私が読んだのはこれで七作品目ということになります(暗黒館で七つ目の館ということですね)
ですが、わずが七作品とはいえ綾辻作品は全てのヒントが提示され、全ての伏線も回収されるのが分かっていたので今回からメモをとりつつ読むことにしたわけです。
ファンの中ではシリーズ中意見が分かれる作品だそうですが、好きな人はめっちゃ好きなんだそうで…。
読了した現在、私はどうかと言いますと…好きです 笑
確かに若干のホラーといいますか、不思議現象と言いますかいわゆる超自然現象が絡んでくるので、現実的かと言われれば明らかに「違う」んですが、かといって特殊設定ミステリーかと言われればこれまたなんか「違う」。
ひとつの可能性としての事実…というか、そういう印象でしょうか。
このいわゆる超自然現象があるから推理に影響があるかといえば、そういうわけではなく…あくまでミステリー自体は誠実にミステリーという印象を受けました。
(影響はないですが考慮はしないといけませんが)
ここは恐らく賛否両論になるんでしょうね。これが許せない人もおられるかと思います。
ただ私個人的には好きだわ!でした。
で、メモを取ったことにより頭の中は整理された状態で読み進めることができ、気づいたこと、違和感などを書き留めることで見返すこともできます。
そこから「あれ…もしかして!?」が生じ、少しずつ「可能性」を頭の中に留めつつ読み進められるので「やっぱりね!」がカタルシスになり、さらに先が気になる〜〜という感じでした。
おかげで飽くことなく、この2600ページにも及ぶ大作を手を休むことなく読めました。
※ここからネタバレを含みます!ご注意ください
↓↓念の為少し間を置きますね↓↓
ネタバレ嫌な方はまた読了後に来てもらえると嬉しいです。ぜひ感想を共有しましょう!
「私」と"視点"の存在
やはり一番ずっと気になってしまうのは主に長い間一人称で進められる「私」と、時折挟まれる”視点”の存在。
特に「私」こと中也に至ってはずっと本名が明かされないまま進むことから、冒頭から「恐らく中也の本名はすでに我々読者が知っている誰か」であることを疑うかと思います。
二巻が終わった時点でも明かされず、三巻でもまだ伏せられた時点でこれは確信になるかと。
最初の頃「私」である中也も宴に招かれたことから「私」は浦登家と関係がある人物、血縁関係にある人物かと思っていました。
そこで早々に浦登家の誰かの隠し子説を疑っていたんですが…これが別の方向で当たってたとは思いもよらず 笑
ただ、隠し子説→使用人の誰かに産ませた子、もしくは近親相姦で産ませた子を疑っていたので、ここら辺は事実が明かされた時はそこまで驚かなくて済みました。
使用人に産ませた子であれば一番疑わしきは静でしたし、実際彼女しか居ないよねって感じですよね。
近親相姦説は望和が描いた絵が出てきた時に疑いました。
どう見ても恐ろしい描写ですし、女性が化け物に襲われている時点でまぁ…そうなるよ、うん。
足の指が三本しか描かれていないことも気になったので、玄遥が三本指しかなかったことはこれもまた納得。
可能性として、玄遥か卓蔵がカンナを襲ったのだろうことは想像がつきましたが、玄遥の方が可能性は高そうだなと思ってはいました。
ただまぁ、年齢を考えた時に80歳前後の人が孫を…?とは思ったんですが、恐らく「葉桜の季節に君を想うということ」を読んでなければすぐ打ち消してたと思います 笑
あれ読んだらね…老人だからって性欲がないとか決めつけられないでしょ…。
ただまぁ…それで産まれた玄児はやはり可哀想な人生を強いられてしまったわけで…。
忠教に関しても、玄遥の隠し子説が出た時は正直「ジジイ流石にやりすぎキモいっす」とはなりましたスミマセン。口が悪いですが。
まぁそこは実際のところ忠教は柳士郎の隠し子だったわけですが。
…と話がそれましたが、結果「私」は浦登家の血縁者ではなかった。
では一体誰なのか…?
そこで何故か自分でも分からないのですが天啓のようなひらめきが降りてきまして 笑
急に「中村青司じゃねえのか!?」って思ったんですよねぇ…何でだろw
ただ「私」に関して
・建築学科の生徒なのに中村青司を知らないのはおかしい
・あくまでも本名の表記がない
・弟は古典マニアである
ここら辺が結構強く残っていたようです。メモもしっかり取ってました。
特にいくら記憶がないとはいえ、建築学科の生徒であり、館のスケッチを熱心に描いたり、玄児に暗黒館の感想を聞かれるほど建築に精通しているのに、巷で知られているだけとはいえ中村青司を知らないのはずっと違和感だったんですよね。
でも北館を再建したのは中村某だし…ここがまぁミスリードだったんですよねぇ。
弟の古典マニアは紅次郎がそうだったように記憶していました。社会科教師ですが、確か部屋には古典の蔵書がありました…よね?
で、これ以上に「私」が中村青司に行き着いた大きなヒントになったのは"視点"の存在。
結果、"視点"=江南孝明だったわけですが、これまた冒頭からどうにも江南と後からやってきた市朗との描写に食い違いがあるなと思っていました。
特に湖の近くに建つ小屋の描写。蛭山がいたあの小屋です。
地震で崩れたにしては、どうも江南の方の小屋の描写があまりにボロボロすぎるので、なんで??同じ小屋でしょ?ってなってました。
ここは最初の時は江南がもつ懐中時計と市朗の腕時計の時間に(僅かな)ズレがあるんじゃないかと思っていたんですが…。
僅かどころかめっちゃズレとるやんw
"視点"=江南は残念ながら気付けなかったのですが(館の視点なのか島田の視点なのかとか思ってた)「時代が違う」ことには自力で気付けました。
そこから「時代が違うということは、中也も玄児も過去の人間である=中村青司はまだ生きている時代」ということで、中村青司をスマホで調べたところ「私」と誕生日が合致しました…。
この時ほどのカタルシスと言ったら天を仰ぐどころじゃないよほんと。
でもこれがあるから辞められないんですよねぇ。
さらにはやはり全然出てこない忠教の存在がずっと気になっていたのと、ずっと登場しているからといって犯人ではないなんてナンセンス!というメタ的考えのもと(申し訳ない)江南は江南ではないということもすんなり納得。
そもそも普通にパッと見た時は「えみなみ」って読むと思うんですよ…「かわみなみ」の方がイレギュラーだもの…多分…知らんけど…。
シャム双子
双子の存在は大きく事件そのものに関わってはきませんが、このシャム双子が産まれたことで母親である美惟がまともに話せない状態、清が早老症で産まれたことで母親の望和も精神が崩壊している…これは重要だったかなと。
十八年前を全て知っているはずのこの二人が語れない状態にあることで、十八年前の事実も明確にならないまま。そして玄児の出生の真実も分からないままだったわけですから…。
シャム双子に関しても最初から多分すでに分離されているであろうことは考えてました。
あと謎に聞こえてくる声も。
声に関してはてっきり「使われていない暖炉と暖炉が通じている」のかと思っていたんですが、単に伝声管の故障でしたね 笑
結果的に三十三年前当時の暗黒館は中村青司は噛んでないわけでしたが、やっぱりどうしても何かしらのカラクリがあるんだろうと思っていたので額縁だけの扉や暖炉の中の隠し通路もウンウンやっぱりカラクリがあるよね!ってとこでしょうか…。
この「カラクリ」に関しても征順が手先が器用であり、カラクリの箱を作ることができるという描写がありました…これがヒントだったんだねぇ。メモってたのになぁ。
ダリアの宴
際立って目立つ存在はやはりダリアであり、ダリアの宴でしょうか。
これは二巻までの感想で少し触れていましたが、やっぱり不老不死が関連してるだろうというのは当たっておりましたね。
ただ人魚の肉の存在は疑わしいというか、このあたりが超自然現象的な部分でもあるのですが、あくまでも人魚の存在を浦登家の人たちは信じていないという玄児の言動があったことで、カニバリズムに行き着きました。
まぁ…ダリアの肉を食べているのだろうなというのは分かりやすいのかもしれませんが…。
もしくは十角塔の近くから出てきた人骨の肉を食べてんのかなと思ってました。そっちの方が嫌だわな、うむ。
で、この「不老不死」が要といいますか。
これはラストの描写にもあるんですが、三十三年後の現代において野口(村野)医師はすでに死去しているにも関わらず、医療知識のある「浦登家の家人」によって江南は救われていますよね。
誰なのか明記されていませんが、もし仮にこの「不死」が正しいのであれば柳士郎もしくは忠教(9歳以降、玄児として育てられた方)の可能性が高いです…ね?
と、なると…ですよ?
同じ火災によって死亡したと言われている「私」こと中村青司もダリアの肉を食べている以上、この不死が発動してる可能性があるということ…。
でもこれって確か自分で付けた火でしたよね…となると中村青司は「惑っている」可能性が高いってことなのでしょうか。
ここがまぁ気になる気になる。
惑ってる人間=ゾンビみたいなもんですが、〈惑いの檻〉にいるはずの玄遥の描写も明確にされていないんですよねぇ。
柳士郎が〈惑いの檻〉に侵入した描写はありましたが、そもそも玄遥を檻に入れたのは柳士郎ですし。
あと気になるのは双子で残った美鳥。おそらくピアノが聴こえたことで健在なのであろうと思いますが彼女は再登場するのでしょうか?
どちらにせよ二人で一人じゃないと生きていけないと言っていた彼女が、今も生きているというのは少し安心したところでもありました。
もし生きていたら50歳ぐらいかな?
もう少し"視点"について
合間合間でこの誰だか分からない"視点"が入ることでちょっと混乱が起こり、頭が痛くなりそうでした 笑
でも読み終わった今、思うにやはりこの”視点”は必要不可欠だったなと思います。
神のような視点であることで、時代を行き来し、誰かを通してではない見え方で過去も現代も映像として捉えられる。
これが必要だったのかなと考えました。
十八年前の描写も玄児の証言を通してではなく、実際あった出来事をまるっと見られるわけで。
そのことにより、登場人物が把握してない事実を読者は”視点”を通すことで把握できる。
まぁこれも正体は江南だったということで超自然的現象になっちゃっておりますが… 笑
でも私は嫌じゃなかったです。こういうのもアリなんじゃないかと思いました。
探偵役
そういえば今作の探偵役はなんと中村青司だった…ということですよね。
これはなかなか結構胸熱でした 笑
そして一巻から登場人物欄に名前があった鹿谷さん…最後にしか出てこやんのかーい!でしたね。
途中で市朗が拾ったマッチに「シマダ」とあったのはミスリード用だったのかなぁ?
全然出てこなかった鹿谷でしたが、たとえ最後の方でも出てきた瞬間どことなくホッとしました。
館シリーズもあと既刊で残っているのはびっくり館と奇面館ですね。一度館シリーズを読み始めると立て続けに読破したくなるのですが、一旦またお休みして次はオススメいただいた「断章のグリム」を読み始めております。
完全版が出るということで…オススメ時にはラノベだけどホラーですと聞いたのですが、実はホラーそのものは初めて読むことになります…。
ホラーなのかな?よく分かってないんですがグリム童話が絡むようなので読み進めていきたいと思います。
ラノベって子供向けみたいなイメージが昔はありましたが、最近はラノベ出身の作家さんも数多く、しかも一概にファンタジーや冒険ものばかりではなくて大人も楽しめるものが多いですよね。
サクサク読めたら良いのですが…結構厚いです…頑張ります 笑