ライブとか本とか猫とか

ライブとか本とかの感想

【読了】「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーウェンズ

一冊読みました。今回も遅い読書ペース継続です…波に乗ると早いんですけどねぇ(多分)

今回読んだのはこちら↓

「ザリガニの鳴くところ」著・ディーリア・オーウェン

最近、海外文学系はほんと…文庫でも値段が高い…!(꒦ິ⌑꒦ີ)

今回の一冊も600ページはある厚さだったのもあって、普通にハードカバーの本と変わらない値段でした…。

ぶっちゃけ本が高くて迷ってたんですが、どうしても平積みされてるのを毎回見かけるたびに気になってしまって。

本屋大賞のはなるべく手にするようにしてますが、翻訳小説部門は読んだことがなかったのもあり読んでみました。

あらすじ

ノースカロライナのとある湿地で村の青年の死体が発見されるところから話は始まります。

時代背景は1950年〜1970年。

その湿地帯にある村にも有色人種への差別や、いわゆるトリッシュと呼ばれる貧乏白人への差別が普通に蔓延る時代です。

村の人々は真っ先に”湿地の少女”と差別的なあだ名をつけられた主人公カイアに殺人の疑いの目を向けます。

カイアは6歳にして家族から見捨てられ、たった1人で生き延びてきた女の子。

村の人々から差別や蔑まれながらも、生き物が自然のままに生きる湿地や「ザリガニの鳴くところ」へ思いを馳せながら暮らしていた少女は果たして犯人なのか?

という、いわゆるミステリーです。

ジャンルは何?

帯を見て、私はミステリーだと思って読み始めたんですが、どうも思っていたのとは違う…。

こういう本はまま出くわすのですが、ミステリー…?と思い始めるとどうにも読書スピードが落ちてしまってw

ただ、この本は割と特殊?で、ジャンルは何かと言われるとひとつに絞れません。

確かにミステリーではありますが、家族に見捨てられた少女がどう生き延びていくのか?というヒューマンドラマの部分もあり、そんな生活の中で出会う男性との恋愛小説でもあります。

かといって恋愛の部分もミステリーの部分もそう多くはなく、とにかくずっと一貫して出てくる湿地の描写が濃い。

自然専門文学とでも言うべきでしょうか?作者は自然博士でもあるそうなので、とにかく湿地に生息する自然や動物の表現が美しい。

さらにそこに絡んでくる人種差別や貧困層への差別。ここも描写が深くて社会風刺でもある…そんな本です。

思ってたのとは違うけど…

ミステリーらしいミステリーではないけど、長編小説として捉えると先が気になる展開が続いていきます。なので一概に私は「つまらなかった」とは言えない作品でした。

ミステリーの部分はまぁよくあるパターンではあった 笑

ただ、これがハッピーエンドなのかイヤミスなのか…それすらも判断は読者によって変わると思います。

主人公の少女の生き様や成長していく様が気になっていきますし、現在(1970年)と1950

年〜を行き来する叙述でもあるので先がますます気になるというか。

どうしてここから現在に至ったのか?となります。

あとは今まで読んだことがないほどの自然と動物への詳細な描写。とにかくすごい。

値段に見合う内容かどうかは私には判断できませんでしたが、買って損した、読んで損したとは思えない世界観でした。

タイトルにある「ザリガニの鳴くところ」は一応説明というか触れられてはいますが、そもそもザリガニって鳴くの??って思いませんか?

軽く調べてみたのですがザリガニは鳴きはしませんが、呼吸をするときにたまに呼吸音がするそうです。でもその音は本当に小さい。

つまり「ザリガニの鳴くところ」とはザリガニの呼吸音が聞こえてくるほどの静かな場所、音の反響のないところ=湿地の深い場所ってことなんだと思います。

そんな湿地の奥深くでたった1人で暮らしてきたカイアの人生が綴られています。

映画化

アマプラで現在映像化されたものを見ることができるようです。

これは映像化したら相当自然豊かな美しいシーンが多いのではないかな?

そのぐらいにとにかく自然!自然!!って感じです(語彙力…)

ミステリーと括ってしまうと物足りないかもしれないので、ガッツリとしたミステリー好きなんだ!といった方にはオススメしにくくはありますが、長編小説だったりヒューマンドラマだったりがお好きな方にはオススメできるかもしれません。

ただし少々長めですw

自然を堪能したい方には特にオススメかも。