一冊読了しました。今回は紙の本です。
読み終わったのはこちら↓
「十角館の殺人」著・綾辻行人
かの有名な本です。こちらもミステリ好きなら一読すべしと言われる本ですが、逆になんで今まで読んでなかったの?って感じですかね…。
有名な作品は割と後回しにしがちです。
なぜなら有名な作品、著名な作家の本は間違いなく面白いに決まってるから。
綾辻行人さんも実は初めましてです。お名前はもちろん昔から存じ上げておりました…でも有名な方なのでいつ読んでも良いかなと思って😂
で、なぜ今読む気になったのか?というと、とにかく某動画サイトなどでドラマ化のCMをとにかくとにかく何度でも出てきては目にしたから 笑
これは読むタイミングが到来したかな…ということでやっと読みました〜。
あらすじ
十角形の形をした妙な建物が建つ孤島の角島。そこを大学のミステリー研究会の7人が合宿と称して訪れます。館を建てた中村青司は半年前に同島にある青屋敷で妻と住み込みの手伝い夫婦と共に焼死。その謎がほぼ未解決のまま現場へと訪れた7人はやがて連続殺人に巻き込まれていきます…。
踏んでしまったネタバレ😂
ドラマのCMではネタバレは当然してませんが、なんせ有名な作品で、この作品はミステリ史上を語る上では外せないほどの作品です。
なので割とそこかしこにネタバレ記事が落ちてるんですよ…「十角館」で検索してないのに引っ掛かります😂
私は全然関係ないと思ってたドラマ作品の原作などを調べてたらなんと十角館のネタバレも含まれた記事が出てきてしまいまして…。
ただ、この作品流石にネタバレなしで感想を述べるのは大変難しい作品だと思います。
なのでいつもはネタバレしないように感想を書いてるつもりですが、今回はすみません、ネタバレ含みます。
もしこちらの作品を読もうと思われてる方は一度ブラウザを閉じちゃってください…。
すでに作品を既読の方はぜひ↓へどうぞ。
※ネタバレ含む感想です。
最後まで読んで思ったんですが、これ別に十角形じゃなくても良かったのでは…?
ただ、十角形の館ってそうそうないし、珍しさで言えば十角じゃないとダメだったのかなと思ったりしました。珍しいから奇妙さが生まれる。奇妙さはじわじわと感じる怖さにもなる…そういった「じわじわと差し迫ってくる恐怖」が今回は必要不可欠の味付けだったのかなと思いました。
そこら辺のじわじわくる、なかなか見えてこない犯人像への不安、恐怖は読み応えありましたし、島田荘司さんの「占星術〜」でも書きましたが「こういうのが読みたかった!」な読了感でした😊
先ほど述べた私が踏んだネタバレですが、そこの記事には「叙述ミステリーといえば十角館の殺人など…」って書かれてたんですよね。
叙述ミステリーって叙述ミステリーと称される時点でもうネタバレなんですよね😂
うわ〜やらかしちまった!と思いました…。
が、その記事を目にする前から思ってたのは序盤で出てきたエラリィたちミス研のメンバーの本名が出てこないってこと。
お互いにあだ名で呼び合ってますし、各章の中でもコロコロと一人称が変わるあたりで叙述ミステリーなのはなんとなく感じてたかも知れません。
なので記事を見て「やらかしちまった!」と同時に「やっぱりそうか」も感じたように思います。
いいしれぬ気持ち悪さと恐怖
そもそも曰く付きの建物のそばにある、いわくありそうな(むしろあるだろ!ぐらいの 笑)十角館に泊まり込むってのもどうかと思いますが、もう条件が!立地の条件が!クローズドサークルすぎる!😂
外界と連絡ができない状況で身内しかいないのに1人また1人と殺されていく…。
いや、怖いだろ!!!😂
流石にホラーみを感じました。殺され方や死体描写も結構細かいですし。ただ、ミステリーである以上は幽霊の仕業じゃなくて生きた人間の仕業なんですよね。
つまり作中にもありましたが中村青司が生きてる可能性と7人の中の誰かが犯人である可能性がとにかく強い。
結果的にクローズドサークルというミスリードによって読者も惑わされていくわけですが、後半エラリィとヴァンが残った時点で「なんで片方を疑わずに中村青司生存説を信じる?」とは思いました…普通に考えたら残った相手が犯人だろ!と思うんですが…用意されていた札もわざわざ「探偵」と「犯人」が残されていたわけですし、最初の方ですでにエラリィが探偵役なんだなと思わされるでしょう。
つまり残ったヴァンが疑わしいわけですが…なんで??とは思いました 笑
ただそこもなんというか皮肉さを感じたというか。
エラリィの絶対的自信というか、ミステリーを熟知しているという自信から盲目になってしまったのだなと思いました…墓穴を掘ったというか?
つまり私には「井の中の蛙大海を知らず」が脳裏によぎった感じです。
それと同時に「仲間を疑いたくない」という信頼というか。
でもその信頼を裏切られたと思っている犯人的にはまぁ…許せないよね…。
復習を遂げていくうちに殺人へのストレスの大きさも描かれていて、人を殺すことのストレスは半端ないものであり、それを成し遂げるための労力も半端ない。
それでも復讐せずにはいられなかった犯人の思いはやっぱり大きかったんだなぁと想像できるわけですね…最後、犯人が捕まる描写がなかったのも犯人にとっては良かったのか悪かったのか…と思いました。多分、瓶を島田に渡した描写によって自首してると思いますが。
ミスリードの散らばり
やっぱり最大のミスリードというか伏線は「名前」ですよね。
江南に守須…片方がドイルならそりゃ守須はモーリスだと思ってしまうよ〜 笑
しかも方やシャーロック・ホームズの生みの親コナン・ドイルで方や「ホームズ対ルパン」のモーリス・ルブランなんだもの…。
セットで見るなって方が無理じゃないですか?(ちなみにホームズもルパンも履修済み)
有名な「あの一行」すぐ分かりました。すぐ分かったし、声に出して「え!?!?」って言いました 笑
そして暫く空中を見ての考察ですよ…ヴァンってことは同一人物なのか?それとも継承された前任のヴァンなのか?ヴァンは元々双子とか??とか諸々。
と、同時に思い出したのは乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」でしょうか。
映像化不可能
前述の「イニシエーション・ラブ」も映画になりましたが、これも映像化不可能って言われてた作品なんですよね。
それで十角館もHuluさんでドラマ化って…これはどうやって作ってるのか見てみたい!
守須とヴァンが同一人物だとバレたら終わりですから…公式サイトとか見てみても守須の名前は無いんですよね。そこを上手く隠してるようです。でもちゃんと出てくるみたいなので気になる…!
あとたまたまだと思うんですが、Huluって確か読売系列?日テレ制作?とかですよね。
そこでドラマ化して江南=コナンって言われたらそれもミスリードなんよ 笑
どうしても読売、日テレ系列でコナンとか言われたらあのメガネ少年アニメが出てくるじゃないですか😂
てっきりそれで私は江南が今作の探偵なんだと思ってたわ…まさかのミスリードだわ😂
そして作家のあだ名が何もついてない島田が実は犯人に迫る探偵だったっていうね…そこも含めて凄いものを読ませていただいた、という感想に尽きます。