またも読書に時間がかかってしまいました。
エンジンかかるまでが時間かかる奴です(本当はもっと読めるようになりたい)
前回のアルフィーからやっと1冊読み終わりました。
今回はこちら↓
「六人の嘘つきな大学生」著・浅倉秋成
パッと本屋さんで目についたので購入しました。帯にも引かれるしタイトルからすでにミステリー要素しか感じなかったので 笑
あらすじ
こちら、ミステリーではありますが人は死なないミステリーです。
テーマは就職活動。
六人の男女がとある有名大手会社の最終選考に残る訳ですが、最後の就職試験が六人によるチームディスカッション。
会社からの提示ではディスカッションの内容次第では全員を採用にする可能性もあるとのことでした。
そのため六人は互いに協力しあい、出されるであろう課題を予測しディスカッションのための準備をし始めます。
そしていざ最終試験へ向かう訳ですが、前日になって会社からの変更が告知されます。
それは六人採用の可能性を変更し、一人のみの採用になったとのことでした。
そして最終試験でもあるディスカッション当日にとある事件が勃発します。
前半と後半
主に⦅前半⦆は就活生たちの就活への意気込みだったり、最終面接への思いだったりが主な話になり、事件が勃発した当日から最後の合格者が出るところまでがおおよその流れ。
いわば事件そのものの概要が前半になっています。
⦅後半⦆は、最終選考から数年後。
唯一合格した一人の視点から、最終選考に勃発した事件の犯人が死亡(病死)したという情報を得たことをきっかけに事件の真相を調べていくパートになっています。
いわば推理パートと答え合わせかな。
どんでん返しのオンパレード
まさにこの一言に尽きる 笑
ミステリーに慣れてる人なら、前半時点で何となく犯人の目星がつくかなと思います。
私も「こいつが犯人では」と目星がつきつつ読み進めました。
しかし読み進めるうちに「あれ…?」という展開に。
あれ?あれ??結局こいつは犯人じゃなかったの…?え?どういうこと…?
という流れに。
後半に入ってからも何となく目星がつくようでつかない。
この絶妙なミスリードの持っていき方に私も騙されました 笑
途中で必ず「事件前の就活段階」の何気ないページを繰り返し見返すと思います。
そう…完全に最初からフラグは散りばめられています。
ちなみに事件が勃発するまでが栞右側の厚さ。
この数ミリを読むのにめっちゃ時間かかりました 笑
いつになったら事件が起こるんだよ〜〜???ってなります…でもここ!ここをしっかり読まないと完全にミスリードに陥ります…えぇ。それも作者の狙い目だったのかもしれない…。
この右側の何でもない日常ページ(何回も書きますが、この時点ですでにフラグは散らばってます)をたとえば10時間かかったとして、その後の左部分はね…3時間…いや2時間ぐらいの速さで読めます😂
そのぐらい面白かった!!
とにかく読む手が止まらなかった。完全にこれは個人的な感想なので、ハマらない方はハマらないかもしれないんですが、私としては今年一番かも…で面白かったです。
ただのミステリーではない
もちろんミステリー小説として読むと本当に面白いミステリーです。展開のテンポもトータルして見ればとても良い。
ただ、ネタバレぎりぎりで書くとするならば、ただのミステリーではない。
これは前述の朝井リョウさんの「正欲」にも通じるものがあって、人は見た目や第一印象、自分が知っている姿が全てではないということもテーマになっているのでは?と思います。
だから「嘘つき」なんですけど…。
この登場人物たちへの印象も二転三転するのが特徴かなと思いました。
どちらかといえば犯人や事件のトリックよりも登場人物に対する部分が一番の要かなと。
この本を読んだ後に思ったのは、できれば朝井リョウさんの「正欲」と合わせて読んでほしいなということ。
いかに自分が固定観念に囚われて生きているのかを思い知らされました。
あと私も就活経験者でもあるので、就活をしたことのある人には共感しかないんじゃないかな?
いま就活で悩んでいる大学生の方がいれば読んでみても良いかもしれません。
就活って人生で一番しんどい時期じゃないかと思うし…だけどそれを経験した本書の6人が就活を終えてからの感想をそれぞれが発言してる場面があるのですが、それも本当に共感しかなかった。
他人は他人、自分は自分
結局こういうことなんですが、人の本心はやっぱり他人には分かりにくいんですよね。
嘘を見抜く力って社会には必要になってくる訳ですが、それも神様ぐらいにしかできないじゃないですか。
それをとても考えさせられるミステリーでした。
こういったとこから「正欲」に繋がる部分があるなと思ったんですが…。
ちょっと自分自身を見返さないとなっていう感想でしょうか。
こちら人も死なないし(病死は出てきますが)世の中を客観的に見れるような部分あったりするんじゃないかと思います。私はおすすめの一冊です。