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ライブとか本とかの感想

【読了】「傲慢と善良」辻村深月

基本、行ったライブとか読了した本の感想しか書かないのでだいぶ間が空いたわけですが…。

今回はこちら。読了しました。

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「傲慢と善良」著/辻村深月 朝日文庫

 

読書が趣味でもあるので、それなりに本を読んできたわけですが(基本的にミステリー多いです)大体が帯に騙されるんですよねw

でもこの本は帯の通りでした。とにかくグサグサ刺さった…。

私は未婚なのですが、この作品の主人公たちと世代も同じで婚活を意識しないといえば嘘になります。

なので特に女性側の主人公である真実には割とサクッと感情移入できたかな…。

これ多分、既婚者の方が読むとまた違う感想を抱くんじゃないかなぁと思った。

あと個人的に真実の母親が割と私自身の母親にもキャラが似ててね…ここまで娘に介入はしてきませんが、だから真実の生活してきた環境や心理も分かるところが多かった。真実自身、私に似てると思います。

 

まぁ、ジャンルで言えば恋愛小説になると思うんですが、ただ恋愛だけのお話じゃなくて、人と人との関係性であったり、他人に対する自分の価値観であったり…が描かれてると思うので、そこら辺はヒューマンストーリーな気もしました。

そこが今回とても面白かったし興味深かった。

読み手の自分もまた傲慢であり善良なのかもしれないなと思ったし、これって「高慢と偏見」のオマージュというか展開されたお話でもありますよね。「高慢と偏見」は映画で履修済みですが、もし読んだり見たりされてない方は「高慢と偏見」も履修されるとなお面白いかなと思います。

 

私は嫌ミスが大好きなので、辻村さんの作品でもハッピーエンドではない方が好きっちゃ好きなんですが、例外として辻村さんの作品の中で「朝が来る」のように主人公が物凄く内面的な意味でも辛い思いをして乗り越えようとしている作品は最後救いがあって終わってほしいなと思っちゃうんですよね。

この「傲慢と善良」もちゃんと着地する終わり方を迎えていて、読了感もスッキリというか「あぁ、一つの作品をきっちり読めたなぁ」って思いました。

終盤、東北へ行った意味も物凄く大きかったよねぇ。

あと「青空と逃げる」は既読だったので後半のあの展開に気づいた時は興奮しましたw

 

クロスオーバーがあると、別の作品ではモブ扱いだけど他の作品ではその人たちが主人公だったりする。

モブだけどちゃんとその人にも人生があって、その人が主人公の物語が同時進行で繰り広げられてる。

これは現実世界においてもそうなので、そういったものを感じ取れる物語はとても好きです。

 

「傲慢と善良」は今、婚活されてる方が読まれるには一番おすすめだなと思ったけど、別に既婚でも改めて読んでみたら感じるものがありそうですねぇ。