色々書き留めたいものが溜まってるのですが、今日10/27は読書の日なんだそうで。
そんな折にさっき1冊読了しまして、せっかくなので先に感想を書き留めます。
今回読んだのはこちら〜↓
「リボルバー」著・原田マハ
原田マハさんは流石に著名すぎる作家さんなので存じ上げてましたが、なかなか読む機会が得られず…あと著名すぎるとどれから読むべきか迷いますよね 笑
そこでたまたま新刊コーナーに並んでいたのが文庫化したての「リボルバー」でした。
実は私、ライブ感想を書くほどに音楽が好きですが絵画も好きな趣味のひとつだったりします。
まぁなんというか読書も音楽も絵画もペラペラの知識しかないのにアレもコレもかよって感じなのですが😂
絵画に関しては母と妹の影響で好んで見に行きます。なんなら母と妹の方がめちゃくちゃ詳しいので知識はいつも彼女たちからおこぼれで吸収する感じです。
2020年のロンドン・ナショナル・ギャラリー展があったんですが、それはゴッホのひまわりが来るということで見に行きました。
当然、本屋さんで平積みされてるこの表紙が目に入って手に取らないわけがないんですよ 笑
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展で見たひまわりの感想とか述べるとくそ長くなるので割愛しますが、とにかく本物のひまわりを目の前にした時の衝撃を思い出させられる本書でした…凄かった。本書の内容と実物のゴッホのひまわり、ダブルミーニングです。
ゴッホに関してはもはや知らない人などいないのでは?というぐらい有名ですが、本書ではゴッホの自殺にフォーカスしてゴッホの人生を原田マハさんなりの創作で展開されていきます。
そしてゴッホの人生を語るには外せない登場人物がいます。それが弟のテオとゴーギャン。
テオに関してはコレまた有名な話なのでご存じの方が多いと思いますが、ゴッホは弟のテオの支援で画家として生活していたんですよね。
そしてアルルという土地に引っ越した際、一緒にルームシェアをしていたのがかの有名な画家、ゴーギャンです。
後半はなんとゴーギャンの独白のページがあり(もちろん創作です)ゴーギャンから見たゴッホの最後が語られる仕様になってます。
あらすじ
主人公・高遠冴はパリのオークション会社に努めつつ、子供の頃から好きだったゴッホの美術研究を続けており、論文を書くため足繁く学生時代からゴッホゆかりの美術館や土地などを調べている人物。
その冴が働くオークション会社にある日サラという女性がオークションに出したいと持ち込んできたのが何と「ゴッホが自殺に使ったリボルバー拳銃」だった。
そのリボルバーの真相を知るべく冴は奔走する…という内容です。
ミステリーとしての本書
一応ミステリーの括りになると思うんですが、思ってるようなミステリーではないというか…ただ真相を求めているのはリボルバーが本物なのか?というところなので、推理展開というのはあんまり無いかな?
でも主人公が真相を突き止めていこうとする過程でゴッホとゴーギャンの関係などがはっきり見えてくる。
もちろん、この二人の関係性だったり、リボルバーの存在やゴッホの死の真相は作者、原田マハさんの創作と想像と空想で成り立ってるわけですが、読み終えた個人的感想としては「これが真相だったら良いなぁ…」でした。
原田マハさんが言いたいのは、ゴッホは不幸、ゴーギャンは幸せな人生を送ったという世間のイメージではなく、ゴッホもゴーギャンもそれぞれに幸せだったに違いないという考え方、見え方ももちろんあるんですよという提示だったように思います。
確かにゴーギャンは家庭も持ち、絵画も生前数枚売れていたようです。行きたい土地へ赴き、地方妻を作って自由に生きていたようにも見える。
かたやゴッホは家庭も持たず、弟に頼りっきりの人生、描いた絵は売れることはなく精神も病んで片耳を切り取ってしまうような異常者…最後には自殺までしてしまう。
これだけ見れば確かにゴッホは不幸な人生だったように見受けられます。
ただこれはあくまでも史実に残っている結果、なんですよね。
ゴッホは確かに家庭を持たなかったけれど、作風に時代が追いつけず受け入れられなかったかもしれないけれど、人生の最後まで絵を描き続け、すでに時代を追い抜いているにもかかわらずさらに「彼方」へと行ってしまうほどの成長をしていたに違いなく、それは果たして「不幸なこと」だったのでしょうか?
このリボルバーを読了した後、もう前のような見え方でゴッホの作品もゴーギャンの作品も見られないと思います。それは良い意味での自分の中での変化であり消化だと思う。
初めてロンドン・ナショナル・ギャラリー展で「ひまわり」を見た時。
陶板への焼き付けとはいえ、大塚国際美術館で一斉に並ぶ「ひまわり」全作品を前にした時、ゴッホの絵を目の前にした時。
その時に感じたえもしれぬ力みたいなものの正体が分かったような気さえしました。
多分「生命力」ですよね…使い古された表現ではあるけれど。
特に本物の「ひまわり」を見たときは絵画の前で本当に涙が流れました 笑
ゴッホが生きてたんだなぁという力というか。
それを本書を読むことで更にそこに生命力が加味されて真実味を感じさせてくれた。
同じくゴーギャンにも触れているので、ゴーギャンという画家のこともとてもよく知ることができます。ゴーギャンもそんなふうに人生を送ったのかもしれない、と思うと無性にゴーギャンの作品を見たくなります。
まとめ
あまりに良かったので長くなっちゃいましたが😂
もし読書も絵画も好きな方がおられましたら、ぜひ一読を!と思います。
本書の中にゴーギャンが見たゴッホの作品についての説明文があります。
「(中略)実にーまったく不思議な風景画だった。
瑠璃紺の静寂が支配する画面。月と星が煌々と輝く夜半の風景。(中略)さざなみの軌跡を残して天空を巡りゆく星々は、無情の闇に沈めまいと救いの光で村を包み込む。三日月は勝利の旗のごとく季節風を受けて夜空にはためき…(後略)」
この絵のタイトルは本書では出てきません。
でも何の絵の説明か…すぐ分かりますよね?この説明だけで絵が目の前に浮かびます。
この一節の表現力だけで「あぁ、だから原田マハさんは評価される作家さんなんだ」と思いました。
私もこの絵、大好きです(大塚国際美術館でポーチ買っちゃったぐらい 笑)