1週間ほど前に読了しました。こちらです。
「ほっこりミステリー」著・伊坂幸太郎/中山七里/柚月裕子/吉川英梨
いわゆる短編集のアンソロジーになりますが、テーマとして嫌ミスの逆パターンである「ほっこりミステリー」ということで、帯にもありますが「人の死なないミステリー集」です。
厚さ的にはそんなに厚くないので割とサクッと読めると思います。
個人的に帯を見て「え?このメンツで人の死なないミステリー書いてるの?」で興味持ちました 笑
人が死にませんので、殺人ミステリーが苦手な方にはオススメできそうだなと思って手に取ってみました。作者も好きな人だったり気になっている人だったので…。
伊坂幸太郎「BEE」
久しぶりに伊坂幸太郎さんの作品を読みました。
自身にあるシリーズもののスピンオフとしての短編で、タイトル通り蜂と格闘する話だった 笑
ほっこりミステリーというかコミカルミステリー?だったかな…暗殺業を生業としてる主人公が蜂と命懸けのような戦いを繰り広げるんだから…。
暗殺業を生業としてるくせに鬼嫁に頭が上がらない主人公と、鬼嫁に頼まれて必死で蜂を駆除する主人公…完全にコミカル展開でした。
どういうふうに蜂と戦い、どう決着するのか?が気になるお話でした。
中山七里「二百十日の風」
「人の死なないミステリー」で一番気になったのが中山七里先生だった(何となく先生を付けたくなる人の1人 笑)
あんなにエゲツない作品を書く人に殺人を封印するとどうなるのか?と思って。
土地開発をめぐって、里の主人公たちと開発業者との軋轢の中、主人公が大切にしていた石碑が一瞬で消えた!どこ行った!?というミステリーでした。
不意に現れた若者が事件を解決するんですが、この人物も何だか不思議な人で。
コミカルな伊坂作品と対照的に割と真面目というか堅め?の中山作品だったかなという印象だったけど、石碑が一瞬で消えた謎を追うスタイルは王道的なミステリーを感じました。これはこれで面白かった!
柚月裕子「心を掬う」
実は柚月裕子さんは読もう読もうと思いつつなかなか手に取る余裕がないまま読めてない作家さんでした。
ので、短編だしお試しの意味でも読めるのは嬉しいなと思って手に取った目的の一つでもあります。
これも自身のシリーズのスピンオフ作品だったんですが、これもまたしっかりミステリーだった。
ただちょっと…食事中には読まない方がいいな 笑
でも主役の意地でも事件を解決する!という熱い想いが伝わってくる作品でした。まず私なら絶対無理だわ…。
ただ、初めて読んだ柚月作品だけど長編物も読みたいなって思いました。なんかやっぱ…著名な人の作品はさすがだなって思った。
あらすじとしては、郵便で送ったはずの現金が送り先に届かないまま紛失する事件が起こります。それを解決しようと奮闘する内容です。まぁ分かりやすいっちゃ分かりやすいんだけど、結構複雑なとこもあって先が気になる展開でした。
ミステリーとして私は結構好き。ただ食事中には読まない方が良い 笑
吉川英梨「18番テーブルの幽霊」
吉川英梨さんは初めましての作家さんだったんですが、こちらは爆弾魔との戦いが描かれてます。
とあるレストランのとある席だけ毎回火曜の夜に予約が入るのだけど、お客さんが現れないという不思議な事件を解決してほしいと主人公に依頼が入ります。
その不思議な事件を解決すると同時に爆弾魔を捕まえるという別の事件が発生して、その2つの事件が関係してくる…って感じなんですが、2つの事件の真相が展開されていくのはどっちも気になるし、だけど片方の事件の真相を暴いていくのにもう片方が邪魔をすることもなく、サラサラっと読めるしストレスなく読めた気がします。
吉川作品も長編を読んでみようかなって思えました。
8歳の女の子が大人びた口調で事件を追おうとするのもキャラが立ってて面白かった!
まとめ
前述通り、人の死なないミステリーなので殺人が怖い!って人にも勧められる短編集だと思います。厚くないのもいい。
お試しで気になる作家さんの作品に触れるのにもちょうどいい気がするので、これを読んで別の長編作品に手を出すのもアリだと思いました。
「ほっこりミステリー」とは言い難いが 笑
ほっこりはしない…これなら「猫ミス!」とかの方がほっこりするかな…。
でも後味悪かったりしないし、すっきり読めるしミステリーの入口としてちょうど良い作品集だと思います。