ライブとか本とか猫とか

ライブとか本とかの感想

【読了】「容疑者は何も知らない」天野節子

読書が趣味の割に読むのがとても遅いです。

で、今回読み終わったのはこちら。

「容疑者は何も知らない」 著/天野節子 幻冬舎文庫

 

まんまタイトル通りなんですが、容疑者兼被害者でもある夫は「なぜ」「どうやって」「誰に」…が分からないまま事件が起こります。

パッと目次を開いた段階で叙述ミステリーなんだな、というのは分かります。

で、これはもしかしたら私には小難しいかもしれないと(笑)思ったので、たまにやるんですがネタバレを避けてレビューを書かれてる人をネットで検索してから読みました。

 

が、これがさ…あんまりレビューされてなくって。これは困ったぞと思いつつ、一応1人の方が「事件が起こってからは一気読み」と書かれていたので、ひとまず読み始めました。

 

夫編は文字通り一人称が夫、妻編は一人称が妻なのですが、合間で犯人視点も入ります。

でもこれがね…大どんでん返しのミステリーではないので何となく犯人はこの人?ってのは分かるんですが、あくまでも最後まで読まないとはっきり分からなくなってます。

被害者、探偵、犯人の視点があるのに最後まで読まないとはっきり分からないっていうのはなんて上手い書き方なんだと思ったし、もしかしたら初めて読んだかもしれません。

 

夫が(読めば分かりますが)性格に多少の難ありでしてw

事件が起こるまでが結構苦痛に近いものがあります…まぁだ事件は起こらんのかいっ!?ってなる時があります。でも妻編に入ると、しっかりと夫編を読んでないとダメだったんだ!っていうのがめちゃくちゃ良く分かるぐらい、しっかりしっかりフラグを回収していこうとするのね。

で、これも初めてだったんですが、何回もいわゆる問題編である夫編に戻ってはフラグを探す行為を繰り返しました…一回読んでるから「そういえばそんなシーンがあったわね」ってなるので気になるんですよ。

 

で、解決の手順を妻編で読んだ後に解答編に入ります。

この解答編を読む限り、ちょっと言葉足らず説明不足だなぁ…と思うところがあるんですが、それもちゃんと夫編に遡って探してみれば補足説明になるフラグがしっかり書かれています。

最後ちょっと読者の考察力がないと「あー!そういうことね!」ってなるには少しハードルが高いかも…という感じの説明不足は否めなかったんですが、全体通して「これは本当によく緻密に書かれているなぁ!」って感動すら覚えました。

 

初めて読んだ天野節子さんだったんですが、60代でデビューされて現役でこういったミステリーを書かれるのかと思うと凄い!の一言です。

天野節子さん、他の著作も機会あれば読みたいなと思えました。

 

ほんととてもよく書かれている…すごく計算してどこにフラグを散らばらせるか考えられたんだろうなと思える作品でした。

 

あと単純に表紙の猫ちゃんに惹かれたのもあるw

こちら、猫ちゃんも事件解決のひとつになっております。