文庫本1週間で読み終わるのは個人的に物凄い速いペースです。
1冊読み終わりました。年内にもう1冊読み終わりたかった…というのもありますが、気づけばどんどん読み進めてたという感じです。
今回読み終わったのはこちら↓
「おわかれはモーツァルト」著・中山七里
こちらは中山先生の作品で続いてる岬シリーズです。最初の本は「さよならドビュッシー」。
とても有名な本なので読まれた方は多いかと思いますが…(もしくは映画)
個人的に中山七里先生のミステリーは大好きなので岬シリーズも愛読してますが、とにかくこの岬シリーズは作中の音楽の文章表現がとにかくとにかく美しい…!
中山七里先生の作品って、本当エログロの作品は結構とことんエグかったりするんですが 笑
こちら岬シリーズは本当に同じ人が書いているのか?というぐらい音楽の表現がとにかく美しい。
個人的に20年ほどピアノを習っていたので、ピアノがメインの作曲家が出てくるこのシリーズはそういう意味でも大好きです。
あらすじ
主人公・榊場は盲目のピアニストです。
彼は数年前にポーランドで行われたショパン・コンクールで入賞を果たし(既刊「いつまでもショパン」)一躍有名になりました。
全曲モーツァルトというちょっと珍しい全国ツアーを控えていましたが、そこに唐突に現れたフリーライター寺下。
彼の登場のせいで榊場は追い込まれていくなか、ある日寺下の死体が発見されます。
そのせいで榊場に容疑がかかってしまい…
モデルはあの方
主人公・榊場は数冊前の「いつまでもショパン」に既出のキャラクターだったんですが、ピンと来た方は多いですよね。
盲目のピアニストで絶対音感の持ち主。耳で聴いた音をそのまま再現できるピアニストなのですが、中山先生も公言されてますがモデルは辻井伸行さんです。
そして姑息なフリーライターがやって来て「盲目は演技だろう」という難癖をつけてきます。
その難癖のきっかけになったのが作中で数年前に起こった「難聴ピアニストの虚偽事件」であり、この事件も現実に実際あったんですよね。
着想はそこから来たのかな?という感じですが、そこから殺人事件が勃発し、どう解決に導いていくのか…そして控えている全国ツアーは無事に開催できるのか?がメインになってきます。
岬洋介の登場
岬洋介がいわゆる主役であり探偵役としてシリーズにおいて重要キャラクターになるわけですが、今回の「おわかれはモーツァルト」はこの岬がなかなか出て来ません 笑
いつ出てくるんだ!?の感覚でとにかく「早く出てこーい!」と急いたのもあってめちゃくちゃ読むスピード上がりました。
岬はとにかくヒーローのような存在なのですが、彼は彼で色々抱えてるんですよね。
それが岬の一人称ではなく榊場からの三人称視点で触れられていくのも読んでいて切なくなる部分でした。
岬が出てからはもう「どんとこい」の安定感しかなかった。とても素敵なキャラです。
中山七里先生の作品
中山先生の作品の特徴として他作品の主人公が複数出て来たりします。
辻村深月先生の作品みたいに、あっちこっちから繋がって出てくるので「ここで繋がってるんかー!」とか「やぁ!久しぶりぃ!」みたいな感覚になります。
なのでできればたくさん読んでいた方がもっと楽しめますが、今回のモーツァルトにもあっちこっちから出演してます 笑
前作の合唱とか今作のモーツァルトに関してはトリックだったり事件性自体はそこまで難しくなくて読み手にも「なんとなくこうじゃない?」みたいな感じなので大どんでん返しというわけではないのですが、前述したようにとにかく曲の流れる文章表現がめちゃくちゃ美しく、それがメインと言っても過言ではないです。
そしてその曲を流しながら読みたくなります。
中山七里先生はよほどクラシックがお好きなのだなぁと感じずには居れません。
どの作品も必ず誰もが聴いたことのある曲が出てくるので、とてもおすすめです。
事件自体もそんなに怖くないので…中山先生のはホラーなんじゃないかと思うほど怖くグロいものもあるんですが 笑
ベートーベン(×2)
が今のところ作品化してますので、1人でも好きな作曲家がいるなら是非、という感じです。
次は「いまこそガーシュウィン」だそうです(書籍化済/未文庫化)
その次の作曲家も決まってますが忘れちゃいました 笑
次回作も楽しみだな〜〜〜〜